大型分割鏡板(AD)

大型分割鏡板(AD)

品名:チタンクラッド大型鏡板
材質:365Gr1(3t)+SA516Gr70(90t)
寸法:93t×φ9920mm
工程:原寸展開・金型作成~曲げ加工~開先加工~修正プレス~非破壊検査(社内PT)~仮組~寸法検査~客先納入まで

本製品は化学プラントに使用される圧力容器用の大型分割鏡板です。
この大型鏡板はクラッド鋼と呼ばれる異なる材質を2枚張り合わせた材料を使用しており、タンク自体に耐食性が求められる為、内面がチタンのクラッド鋼板が採用されています。
クラッド鋼板にて製作するメリットとしてはもし、このタンクを全てチタンにて製作した場合、膨大な材料費と加工日数が必要となります。
しかし、異なる材質が張り合わされているクラッド鋼板を採用すると内容物に触れる部分のみをチタンにし、その他部分を安価な材料に変更することで、同性能を確保しつつ、材料費を圧縮することが出来ます。
本案件の場合、内面がチタン、外面には90mmのカーボン材を使用することで、耐食性と強度を確保しています。
写真では色味が違いますが、ナックル(鏡板側面部)の上にクラウン(鏡板天頂部)が取りつき、鏡板完成となります。
クラウン(鏡板天頂部)の溶接線が均等な分割になっていないのは、パイプ等の付属部品の取りつけや、他部材の溶接線を避けるレイアウトになっているからです。
この製品は曲げ加工だけでなく、開先加工も非常に難易度が高い製品でした。
厚板プレス工業は曲げ加工だけでなく、開先加工も社内にて対応可能なのですが、クラッド鋼板の開先形状は一般的な開先加工とは異なり、チタン部を確実に剥離し、カーボン部と分離させた開先を作る必要があります。
そこで、カーボン部が確実に剥離されているか確認する為に開先加工部に硫酸銅と呼ばれる試験薬を塗布し、錆の有無を確認することでカーボン部の剥離状況を確認します。

クラッド鋼板は他の材質と比較しても取り扱えるメーカーは限られてくるかもしれませんが、材料費を大幅に下げることが出来るので全体的なコストダウンにもつながります。

【クラッド鋼板】

クラッド鋼板とは炭素鋼+ステンレスや炭素鋼+アルミといった異なった金属を接合し、一枚の板にした鋼板のことである。

接合方法はローラーを使用した圧着と接着剤を爆発させることにより接合させる爆着がある。

圧着は爆着と比較して接合時の歪を最小限に抑えることが出来るが、曲げ加工時に接合部が剥離してしまう可能性がある。

爆着は圧着と比較して接合時に接着剤を爆破させる為、接合強度が高く剥離することはないが、接合後、後半が歪んでしまう。