9%Ni(ニッケル)鋼 曲げ・溶接
9%Ni(ニッケル)鋼 曲げ・溶接
外航船(国外へ向けて走る船)、内航船(日本近海を走る船)ともに従来は重油を使用していましたが、窒素酸化物や硫黄酸化物などの排出規制に加え、カーボンニュートラル・脱炭素の動きの加速にともない、造船業界では現在、段階的な代替燃料としてLNG(液化天然ガス)が注目されております。
LNGは大気圧下にて-169℃で液化することから、燃料タンクに使用される材料には極低温靭性が求められます。そこで採用されたのが9%Ni(ニッケル)鋼板です。
9%Niの加工についてですが、極低温靭性が高いことから曲げ加工時、スプリングバックが大きく、形状を出すことが非常に困難です。しかし、弊社は様々な素材を加工した経験・実績から、こういった難加工材質の曲げ加工にも対応しております。
※従来工程ではこの状態となり、ここからパーツごとに解体していた
そして、この「9%Ni鋼」は溶接難易度が非常に高いため、従来であれば、曲げ加工~仮組~解体~出荷の流れで対応させていただいておりましたが、お客様より、溶接完成品で納入して欲しいとのお声を多数いただいたこと鑑み、弊社では下記のようなテストピースを製作し、現在、9%Ni鋼の溶接に取り組んでおります。
溶接姿勢は「下向き」、「立向き上進」、「水平」の3つの姿勢で現在、溶接修練を進め、WPSの確立、並びに第三者機関によるPQRの承認を進めております。RT(レントゲン非破壊検査)を実施した結果、「下向き」、「立向き上進」の合格率は90%を超えております。
2022年6月に弊社新工場である「あわじ工場」が稼働することもあり、NK(日本海事協会)の工場承認を進め、第一種圧力容器やASME規格の資格取得の検討についても進めております。
新たに溶接資格、工場承認を取得した際には本ページを随時更新して参りますので、ご確認の程、よろしくお願い致します。